こんにちは、てぃもです!
この記事ではオーグメンチンに関する病院実習でのトラウマをお話しします。
今でもオーグメンチンを見るたびにあの時のことを思い出します。
私の昔話だけではなくオーグメンチンの性質にも触れてきます。

できごと

病院実習が始まって1か月くらい経ったころ、その日の午前中は調剤をする時間で、慣れた手つきで調剤をしていました。
この病院ではヒートで払い出している患者さんが結構おり、ヒート調剤は実習生が担当ししていました。
とある患者さんにオーグメンチンの処方が出ていたので何も考えずに箱から取り出し、アルミ袋を開けました。
すると、とある10年目くらいの薬剤師が血相を変えてこちらへやってきて急に怒り始めたのです。
私は何をしてしまったのかわかりませんでした。

袋になんて書いてある?

「本剤は吸湿しやすい製剤です」

ってことは開けたらあかんの!

っ!!
説教内容の詳細は忘れてしまいましたが、「あなたも薬剤師になるならうんちゃらかんちゃら~」ぐちぐち言われ、私が「どうしたらいいんですか?」って聞いたら「自分で考えー」って言われ去って行かれました。
半泣きでした(笑)
それを見ていた他の薬剤師(説教薬剤師よりは上っぽい)が「そんなに言わんでも…」と引き気味で言っていたのが聞こえ、そこまでヤバいことはしていないのかと少し安堵。
実習生のメンバーも何事かとこちらへ来てくれ状況を説明していると、一年目の優しい薬剤師がシリカゲル&チャック袋を持ってきていい感じにしてくれたのです!

まあ、これでええやろ笑
神様に見えました。
オーグメンチン配合錠について

オーグメンチン配合錠は、抗菌薬です。
β-ラクタマーゼで分解されやすいアモキシシリンとβ-ラクタマーゼ阻害薬であるクラブラン酸の合剤で、この2剤を合わせることで抗菌スペクトルが拡大します。
規格は250と125があります。
- アモキシシリン:クラブラン酸カリウム=2:1
- 経口のみ
- 代謝:肝臓
- 腎排泄:30〜40%
- 主な副作用:下痢
オーグメンチン配合錠の吸湿性

インタビューフォームより、アルミ包装を開けた状態では少なくとも30日間保つと記載されています。
アモキシシリンについて
- ペニシリン系抗菌薬…βラクタマーゼ(≒ペニシリナーゼ)で分解されやすい
- 細菌の細胞壁合成を阻害することで菌を殺す
- ヘリコバクターピロリ除菌3剤併用療法のメンバーの一人(アモキシシリン+PPI +クラリスロマイシン)
- グラム陽性菌、グラム陰性菌、スピロヘータに有効
- 緑膿菌には無効
- 吸湿性:なし
クラブラン酸カリウムについて
- βラクタマーゼ(≒ペニシリナーゼ)阻害薬
- 吸湿性:30℃、湿度30%以上で吸湿し始める
ふむふむ、なるほど。吸湿性が高いのはクラブラン酸の方だったんですね。
確かに単剤でアモキシシリンカプセルがあるけど吸湿性はないです。
30℃、湿度30%以上で吸湿するならだいたい部屋の温度って25℃前後なのですぐに吸湿はしないけど、時間が経てば徐々に吸湿し始めるイメージ。
そういえば持参薬でオーグメンチンを一包化されてるの見たことがあります。
チェックポイント
オーグメンチンは吸湿性が高いが、アルミ袋開封後30日間は問題ない。
参考:オーグメンチン配合錠インタビューフォーム 、青本薬理2016年版
まとめ
クラブラン酸に若干の憎しみを覚えましたがそれはさておき。
シリカゲルと一緒に保管することで30日より長く保ちそうですね。
薬学生の皆さん、オーグメンチンの取り扱いにはお気を付けください。
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おまけ:β-ラクタマーゼ(≒ペニシリナーゼ)
β-ラクタマーゼ(≒ペニシリナーゼ):いくつかのグラム陰性菌が産生する酵素。
β-ラクタマーゼを耐性因子に持ちうる菌
菌種 | 耐性の種類 | 略号 | 感受性が低下する抗菌薬 |
淋菌 | ペニシリン | PPNG | ペニシリン系薬 |
大腸菌などの腸内細菌 | 第三世代セフェム | ESBL | カルバペネム系とセファマイシン系薬を除くβ-ラクタム系薬 |
インフルエンザ菌 | アンピシリン | BLPAR | アンピシリン |
緑膿菌 | カルバペネム系 | MBL | モノバクタム系薬を除くβ-ラクタム系薬 |
※ペニシリン系薬…ベンジルペニシリン、アンピシリン、ピペラシリン
※カルバペネム系薬…メロペネムなど
※セファマイシン系薬…セフメタゾールなど
※モノバクタム系薬…アズトレオナム